透析液成分濃度測定装置の認証について

(一社)日本血液浄化技術学会
理事長 山家敏彦


 透析液安全管理の基本となる透析液中のイオン濃度(透析液成分濃度)の測定法については、炎光光度法からイオン選択性電極法へと変遷を経ていますが、イオン選択性電極は透析液成分濃度の測定に適切な装置であるとの確証が得られないまま使用されてきました。そこで、(一社)日本血液浄化技術学会(以下、JSTBと略す)では、2009年から透析液成分濃度測定に関する検討ワーキンググループを組織し、問題点の提示とその解決のために透析剤メーカや透析液の成分濃度測定の装置メーカ及び関連団体と意見交換をするなどの作業を行ってきました。

 それらの作業の中で、透析液成分濃度の測定は、臨床化学分析法によるため臨床化学分析の標準化の作業の論理を適用するとよいと考えられたことから、日本臨床化学会POCT専門委員会で、透析液の成分濃度測定の標準化のための透析液用常用参照標準物質の認証値の決定方法を議論いただき、決定していただきました [1, 2]。
それに基づき、(一社)検査医学標準機構で、透析液測定用常用参照標準物質(JCCRM 300)を作製していただくこととなりました。

 JSTBでは関係メーカと協力して、JCCRM 300を校正基準として、校正後の測定値の精確さや、測定装置間の測定値の互換性が確保できるかどうか検討し、測定システ ムの当該測定項目毎に、標準物質としたJCCRM 300を用いて校正することにより、測定値に対して一定の信頼性と測定システム間の測定値の互換性が確保されることを確認しました。それらの結果を踏まえ、標準化項目をNa+、 K+、Cl、pH、HCO3の5項目とし、これらの測定項目の測定装置について、透析液成分濃度測定装置あるいは透析液測定モードを有する測定システムに対して、当該の測定項目が適正に校正されていることを検証する適合性の評価(認証)を行うこととしました。

 認証に当たっては、まず、透析液成分濃度測定装置認証指針作成委員会(委員長小久保謙一:北里大学)において、認証指針を作成し、それに基づき、透析液成分濃度測定装置認証委員会(委員長 清水康:元町HDクリニック)にて、現在市販されているイオン選択性電解質測定装置および血液ガス分析装置に対し、透析液成分濃度の測定に適した装置であるかどうか、認証審査を行いました。2017年5月末に第一回の認証試験を行い、透析液成分濃度測定装置認証委員会により適合する装置とその測定項目が認証されました。 今後は透析液成分濃度測定に適合した認証装置の認証された項目を用いて透析液濃度管理を行うことが望ましいと考えます。

 なお、今後、各透析施設におかれましては、認証装置を使用するために、パラメータ変更や新規導入を行うことになりますが、その際に臨床現場において混乱が起こらないように、現在、装置変更時(パラメータ変更を含む)にともなう、手順や安全な濃度調整に関する注意喚起の文書を作成すべく、関係団体との協調をとりながら鋭意準備を進めております。関係団体との歩調がとれ次第、パラメータ変更や新規導入開始日を連絡いたします。現在、装置をお持ちの施設におかれましては、その日以降に、各認証装置メーカにパラメータ変更依頼を行って頂きますよう、お願い申し上げます。


文献 [1] 透析液の成分濃度測定の標準化-透析液用常用参照標準物質の認証値の決定方法-臨床化学 45:140-155,2016 [2] 透析液の成分濃度測定の標準化:追補-透析液用常用参照標準物質のClイオン濃度の認証値の決定方法-臨床化学 46: 60-63, 2017

第1回透析液成分濃度測定装置認証試験

透析液成分濃度測定装置の認証指針(第2版)

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透析液成分濃度測定装置認証委員会

  委員長: 清水 康(元町HDクリニック 臨床検査部)

  試験責任者: 梅本 博仁(検査医学標準物質機構)

  委員: 桑 克彦(前国立研究開発法人産業技術総合研究所 物質計測標準研究部門)

  委員: 小久保 謙一(北里大学大学院 医療系研究科)

  委員: 櫻井 啓子(検査医学標準物質機構)

  委員: 白井 秀明(横浜労災病院 中央検査部)

  委員: 村上 淳(東京女子医科大学 臨床工学部)

  委員: 山家 敏彦(神奈川工科大学 工学部臨床工学科)